転職時の情報の持ち出しについて - 同業他社への転職

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同業他社への転職。

転職後の活躍のために情報を持ち出したくなるがそれはダメ!

 19日の日本経済新聞の39面に、同業他社へ転職する際に元の会社の営業上のファイルを持ち出したとして、双日の社員が不正競争防止法違反(営業秘密侵害)で起訴された、との記事が掲載されていた。

 転職時のトラブルについては、このブログでも、10日16日と取り上げている。それらは、いずれも日本経済新聞の“揺れた天秤~法廷から~”という裁判で取り上げられた事案についての特集からであった。

 今回は、18日の起訴を受けての記事なので、それらよりも前の段階にある。

 今回の事案は、総合商社の兼松に勤める男性が、同業他社である双日に転職する際、自動車部品の取引台帳など3つのファイルを不正に取得したとして逮捕されている。

 その他にも約5万点ものファイルを持ち出したと記事には書いてある。

 前回のコンサルティング会社の転職では、持っているスキルが同業他社で役立つことから、コンサルの業界では転職が多いとのことだった。スキルの部分には、当然ノウハウや人脈、そして様々な情報なども入っているのが普通である。

 コンサルティング会社の場合、転職時に情報を持ち出さないこと、転職後、元会社の社員を引き抜かないこと、引き抜いた場合の損害賠償などの誓約書が元会社と転職者との間で交わされていた。片側だけがそのような誓約書を交わしている。

 今回の事件では、元会社の兼松との間で“在職時の秘密保持の誓約書”を交わし、新会社の双日との間でも“転職元の機密情報を持ち込まない誓約書”を転職者はそれぞれ交わしている。つまり両方と交わしているのである。

 これは、転職者を受け入れた双日が情報までは持ってこないで身一つで来てくださいよ、と言っているようなものなので、素人目からみると「なんて誠実でいい会社だろう」と感じてしまう。

 しかし、記事を読んでいくと自社の営業秘密の保持は企業の大きな課題になっており、双日が転職される側になった時にごっそり情報を抜かれ、引き抜きのやり合いにならないようにそのような誓約書を交わしたのではないかと想像できる。情報を持ち出されることは企業にとって相当の痛手なのだ。お互いやらないようにしましょうと、暗に紳士協定が結ばれているのかもしれない。

 従業員と退職時だけではなく、入社時から秘密保持契約を結ぶ企業は増えていて、全体の60%近くになる。しかし、全くそのような契約を締結しない企業も存在するそうである。

 今回の商社、また以前取り上げたコンサルティング会社ともに基本的には企業に向けて仕事をしている、すなわちBtoB(Business to Business)のビジネスモデルである。基本的には顧客は会社であることから、一般人の個人情報が流失したことにはならない。

 しかし、営業秘密侵害なので、使いようによっては流失元会社の営業を害する。今回は、兼松は部品を主に扱い、双日は完成車を扱うことが多かったので業務内容は重複しないとのことだったが、やり方によっては相手の売り上げを奪うことが出来たりするであろう。

 今回については、被告が「転職先で活用できると個人的に考え、兼松の情報を持ち出した可能性が高い」とのことである。

 転職先でより活躍したいとは誰もが思う。このような考えでこの手の犯罪をする人はこれからも続くであろう。

 奥さんの会社は、情報の管理はかなり厳しい。会社内にUSBなどの記憶媒体を持ち込むのも禁止、メールに添付ファイルを付けるときもかなりさまざまな要件があるそうだ。システム関係の部署が随時社内メール等の監視を続けているそうだ。また、社内のメールを通して、スパム・ウィルスメールを開かないようにしっかり告知している。時折、避難訓練的に偽のスパム・ウィルスメールを流すそうだ。もちろん開けた社員は叱られるそうだ。

 これは、奥さんの会社がB to C“(Business to Consumer)の部分を扱うからであろう。一般の消費者の個人情報を扱っているから日頃から情報漏洩に繋がるような行為を禁止していると思われる。

 記事では、様々な対策をしても「悪意ある情報流失を完全に防ぐのは難しい」と結論づけている。

 情報を流失、持ち出しを行った者に対する処罰は当然であるが、それを利用して不正な利益を得た企業にも何らかのペナルティが科されなければいけないだろうし、それを公平に運用する機関も必要なのかもしれない。

 転職時のトラブルに関しては今後もいろいろと事案が出てくるだろう。今後も取り上げる予定である。

 さて、この社員今はどうなっているのだろうか。記事の締めでは、”双日は18日、元社員の起訴を受けて「厳粛に受け止めている。再発の防止に努める」とコメントした。”と書かれている。

 そう、すでに容疑者は「元社員」なのだ。

 転職時に良かれと思ってやったことであっても、法に反していれば会社員の地位を失うのだ。

 これから社会人になる就活生も法に反するようなことはしてはいけない。それだけは確かだ。

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