土日の日本経済新聞(2023年12月2日、3日) - 積水ハウス地面師事件

building, window, window cleaner-8373618.jpg 最近の出来事

まるでドラマのような事件だった。

狙われたのは、手柄を得たいという「功名心」!

 この土日の日本経済新聞で気になった記事は、3日(日)の朝刊27面の記事、『「お宝物件」大企業を欺く』(揺れた天秤~法廷から~)である。

 これは、2017年に起こった売買に関する事件である。JR山手線五反田駅から徒歩数分、元々旅館だった土地である。面積は約2000㎡だった。

 2000㎡というと、50m×40mである。分かりにくいかも知れないが、小学校の体育館がすっぽりと入る広さであろうか。

 土地には用途地域という概念があるが、五反田駅の近くなら、住居なら高層マンションなども建てられたし、周りの開発に合わせた商業施設などの建築も可能だったのだろう。

 土地を購入して開発して付加価値を付ける、それを売ることを考えるとかなりの利益が予測される土地である。

 さらに不動産会社の宣伝で一番良いのは、マンション、もちろん戸建てでも、建築中に「○○株式会社の物件建築中です」と張り出すことである。都心の真ん中に建築中、数年にわたり宣伝ができる効果はものすごく大きい。

 マンションの開発と売り上げ、宣伝の効果なども含めれば、「お宝物件」である。

 業界では売りに出ない土地で有名だったが、ついに売りに出すとのことで、ある不動産会社に購入が持ちかけられた。

 持ちかけ先の不動産会社は、「積水ハウス」だった。積水ハウスは、戸建て住宅が中心の有名企業である。マンション開発に関しては、他の不動産会社に明らかに負けている。

 このような業界の情勢をしっかりと把握した上で、地面師たちは、「積水ハウス」をターゲットにしたのだろうと想像できる。

 当初、営業担当者は怪しんだようだが、公証人による所有者本人確認資料が送付されてからは疑うことはなくなった。社内では、その「お宝物件」が購入できたら…という期待が一気に加速した。

 取引を急いで成立させたいので、慎重さが無視され、稟議書では、副社長4人が後回し、社長の承認を先にとって進めた。

 手付金を支払った後、「売買契約はしていない」「別人との取引だ」との内容証明郵便が届く。さらに、仲介している業者についても怪しいとの噂が流れる。

 しかし、同業他社の嫌がらせだと断じ、その対策として残代金の決済を前倒しにしてしまったそうだ。

 手付け金14億、残代金50億の総額で約64億の支払いのうち、55億は戻ってこなかったとのことだ。

 今回の失敗点は様々あるが、やはり手柄が目の前に現れ、その手柄を得たいという欲、功名心で周りが見えなくなった点が大きいのではないかと思う。

 正しい稟議をすっ飛ばし、部門間での相互チェックを外してしまった点も問題がある。

 記事では、「立ち止まる勇気」を持てるかが組織作りの要諦なのかもしれないと締めている。しかし、地面師たちは、その辺も見越して、マンション開発事業で立ち後れている「積水ハウス」を狙ったとしか思えない。

 今回の事件に関わった地面師グループ10人は逮捕、起訴され有罪となったが、55億円はどこにいったのだろうか。深い闇を感じる事件である。犯罪を通して、資金がどこかへ消えたしまった。そのお金たちは、どこの誰が何のために使うのだろうか。この疑問に答えてくれる報道、情報、書籍は存在しない。

- お詫び。11月中旬に体調を崩して、ブログをサボる癖がついてしまった、少しずつ戻していきたい。

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