土日の日本経済新聞(2023年10月14日、15日) - 派手な引き抜きで失敗

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今回問題になったのも転職時のトラブル。

コンサルティング会社での事案だ!

 この土日の日本経済新聞で気になった記事は、15日(日)の朝刊27面の記事、「引き抜き 一線を越えた」(揺れた天秤~法廷から~)である。

 先週も転職の際の採用内定の取り消しの事案を掲載していたが、今回も転職の際に起きたトラブルの判例が紹介されていた。

 今回はコンサルティング会社の事例で、元会社では役員クラスだった男性が、チームのメンバー4人ごと新会社に引き抜いたことが問題となった。

 コンサルティングとは、企業、行政の主に経営、指導陣に職務遂行上の解決策・方針を示し、その運営をサポートする業種という感じだろうか。企業・行政でも自分たちで独自のノウハウがないような場合、外部のコンサルタント、コンサルティング会社に依頼する場合が多い。

 最近、ニュースで話題になったジャニーズ事務所の記者会見も、イベント会社としてコンサルティング会社がその運営に関与していたとされている。ジャニーズ事務所も大きな記者会見を開く独自のノウハウがなかったのであろう。

 コンサルティング会社は転職が多い職種である。記事中でも、法廷内の証言で「数年で転職するのが一般的な業界」と述べられている。私の元勤めていた会社の後輩がコンサルティング会社に転職したが、その人に会うたびに会社名が変わっている。これは事実である。

 コンサルティングに関しては様々な分野があり、各業種、デジタル、公官庁などあらゆる分野に通じた人間が必要である。ある分野の専門知識・人脈があれば、コンサルティング会社には必要とされやすい。また、他のコンサルティング会社での経験やノウハウも生きる。何より効率性、生産性を重んじる業界であるから、自然と転職が多くなるのも頷ける。

 私の後輩は、「アーサー・D・リトル」というコンサルティング会社に転職した。なんと世界最古の経営戦略コンサルティング会社だそうである。彼が転職するまで知らなかった。人事採用担当だったのに…。

 今回の事件は、元会社の役員、すなわち取締役として会社法上の善管注意義務・忠実義務に違反するとして損害賠償が認められた。これに関しては、全くその通りだとしか思えない部分がある。

 まず、コンサルティング会社だからなのか、退職時に「退職後に引き抜きを行わない」とする誓約書を交わしていた。これは、一般社員の退職者にも要求されるものなのだろう。

 男性は、新会社に対してチームごと引き抜くので給与の面でも優遇するように交渉していたようである。元会社で役員ではなくても、完全に誓約書に反している。誓約書には、「引き抜きがあった場合には、その従業員の前年の報酬分を会社側に支払う」との約定もあったそうである。

 役員でなかったとしても、この部分の誓約書に反する部分があった。

 次に、会社に対する害意も認められる。引き抜きのメンバーには、「退職時の引き継ぎはしないように」と指示する、会社の内部情報をフリーランスの記者に伝え、批判的な記事の執筆を依頼する、などの行為があったそうだ。

 最後は、この一連の転職・引き抜きの計画性である。2ヶ月前に同業他社に転職する旨をメンダーに知らせ、その男性が転職後、3~4ヶ月後にメンバーが新会社に移った。

 転職後に、勧誘することは自然なことで、それで他の者が転職したとしてもそれは‘引き抜き’にあたるかは微妙な事案もあるだろう。しかし、今回はメンバー内でグループチャットが設定され、チームのマネージャーを通して様々な打ち合わせを繰り返していた点で、完全な計画的引き抜きということになってしまっている。

 勧誘の域を超えて会社に大きなダメージを与える背信的な行為であるとして、取締役の善管注意義務、忠実義務違反となった。

 企業に勤めて、他の会社の人間と仕事をすると、転職を勧められたりすることがある。特に多いのは、システムエンジニアとかで、相手企業に行って一緒に長く働いたりする時である。そして、そのような勧誘を受けるのは大企業であればあるほど多いような気がする。

 私の勤めていた会社のSEで派遣先の総合商社に勧誘された男がいる。神宮とか、青山に本社がある商社である。

 将来的な転職も考えると、やはり大企業にまず籍を置くことを考えるのがいいのかもしれない。でも、そのような勧誘を受けても、会社の情報を持ち出したり、会社にダメージを与えたりする転職はしてはいけない。

 まずは、しっかり就職活動をして就職、その会社でしっかり働いてから転職を考えよう。

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